VOL.3

​KBSクボタ

​小島崇氏

旧つくば国際貨物ターミナルから移籍して、機械総合メーカークボタ100%出資会社のケービーエスクボタ株式会社 海外物流部 海外グループ 東日本チーム長を勤める小島崇氏に聞く、ラウンドユースの過去と未来!

​取材日 2019/11/20

吉田運送:本日はお忙しい中、ありがとうございます。小島さんとは前職からお付き合いになりますね。

小島さん:ケービーエスクボタ(以下:KBS)に入社する前は第三セクターのつくば国際貨物ターミナル(以下TICT)に勤務していました。当時から吉田運送さんとはおつきあいさせていただいていました。車両の手配をお願いしていたりしていましたね。

吉田運送:当時から本当にお世話になっています。

小島さん:TICTが閉鎖になることが決まって、TICTのサービスを最後まで利用していたのが現職のKBSでした。施設自体は茨城県内の民間企業に譲渡してサービスはそのまま継続することが決まっていました。KBSに移って、荷主側の立場から見て良いアイデアができればと思って今は従事しています。その時からコンテナの集荷提供のサービスの部分で吉田さんはやられていたので、我々が拡大していく中のサービスの一つとして内容も方向性も合致していました。

 

◇クボタのインランドデポ活用は東京港の混雑がきっかけだった

 

吉田運送:KBSと弊社の協業スキームについて、御社の視点から簡単にご説明願えますか?

小島さん:TICT時代からインランドデポのサービスは行っていましたが、クボタの荷物に関してはKBSがコントロールするので作業はあくまで委託です。今も同じですが船社とのインランドデポ契約及びコンテナの入出はKBSとして管理しているので、作業の部分をインランドデポに委託しているという事です。吉田さんに於いては同施設の中で吉田運送として活動している部分とKBSとして活動している2面の部分があるという事です。

吉田運送:クボタさんがインランドデポを活用しようと思ったそもそもの要因は何ですか?

小島さん:東京港の混雑が原因です。もう10年以上前から状況は変わっていません。筑波工場は日当たり40~50本くらいコンテナの荷積み作業(バンニング作業)があります。その数量のコンテナを集めるのは東京港からピックして来ると混雑しているコンテナヤードだと何時間も待たされることになります。

出荷現場にしてみれば今日バンニング予定のコンテナが到着しないと、「いつ来るの?」と不満がつのります。蕎麦屋の出前じゃないですけど「今走っています」とか「夕方までには」とか「今並んでいます(コンテナヤードに)」、それで結果として「やっぱり今日ピック出来ませんでしたから行けません」みたいな状況が発生していました。

現場が物を出荷できないと出口の部分が詰まってしまい、生産にも影響が出てしまいます。輸入メーカーで使ったコンテナが近隣にあるのだったらそのコンテナを使えれば、輸入メーカーで空になったコンテナの車両を回してもらい、東京港からコンテナをピックするよりリスクが少ない。要はラウンドユースですよね。

吉田運送:荷主にとって、スケジュールが立たないというのは一大事だということですね?

小島さん:そう通りです。工場の都合の部分ですと作業の定時制ってなにより大事です。そこが保てないとなると弊害も大きい。保管スペースがいる話にもなってくる。

吉田運送:他の荷主さんからの相談など視察はありますか?

小島さん:連日の様にあります。然しながら手前味噌ですが他では簡単には真似できないと思っています。荷主の協力や、実際運営する人間たちの覚悟が必要だからです。

ラウンドユースは事務処理やマッチング作業など手間がかかるのですが、自分たちのグループ内で改善活動をしていくことが成功のためにはどうしても必要でした。

吉田運送:その点のノウハウは弊社でも蓄積をしています。興味のある企業にはぜひお声かけいただきたいですね。

ところで、視察に来られて教えるのってけっこうな手間だと思うのですが、その点はどのようにお考えですか?

小島さん:興味を持って視察に来ていただける業者さんは、後にラウンドユースパートナーになりえる可能性があると我々は考えています。パートナーが増えればコンテナの集荷率があがり、物流の安定につながります。

吉田運送:つまりこの仕組みを世に広げていくことが荷主様や物流会社のメリットになるわけですね。

 

 

◇協業パートナーからみたインランドデポのこれから

 

吉田運送:もともと港の混雑が工場にまで影響を与えている所からはじまったわけですが、今も混雑は続いています。インランドデポ利用について今後の展望などお持ちでしょうか?

小島さん:ラウンドユースは仕組みとしては大分成熟してきていると思っています。吉田さんのデポもそうですが、コンテナの集荷のために場所は移せないじゃないですか。我々の工場から荷主さんと組んでやる部分もやりつくした感はあって、しかしポテンシャルをすべて発揮できているとは思えない。

今後のインランドデポのさらなる活用を吉田さんと一緒に考えていきたいです。同じデポの運営者でも吉田さんはトラックを持っています。一方KBSは荷主の子会社で、荷物を持っているってところで優位性は違うと思うので、方向をすり合わせしたら面白いと思いますね。やはり吉田さんはパイオニアですので、どの方向を目指しているのか、ぜひお話ししたい。

吉田運送:ドライバー不足や車両不足が深刻化している中、コンテナの輸送は増えてきているので車両確保のため朝から晩まで電話で車両を探している状況が続いている現状があります。輸送業者にとってもっとインランドデポを活用しやすい仕組みを考えていくことが必要だと考えています。オフドックCYの機能があればロングとショートの分業がちゃんとできて物流の活性化にも繋がること、そういった効率化がさらなる効率につながること、そういったことを広めつつ、地域を含めて新しい動きをしていくべきだと思いますね。

小島さん:ラウンドユースを始めたきっかけは定時制ってところがありましたけど、コスト部分のウエイトももちろん高かった。しかしここ数年は順番が変わってきていて、今は輸送力の確保ですね。現状では通常通りのやり方ではコンテナの確保は本当にむずかしくなっていて、輸送力が悪化し続けています。輸入メーカーさんの立場では、自分たちの輸送がままなっていないからラウンドユースはできないと言うことになる。

運送会社に余裕がないので確保した車両でピストンでもなんでも1本でも多くコンテナを運んでおく状況になっているので、全体効率まで頭を回す余力がない。

吉田運送:ラウンドユースを行えば理論上の輸送力は増えるのですが、そのためには、余力が余力を生むといういいサイクルを作っていく必要があります。

小島さん:マッチングによる手間と拘束を我々がどれだけ削るかですかね。運送会社にとってあそこに行けば売り上げも上がるし手間もかからないし、今の仕事に影響もないってなったら喜んできてもらえ、そして空のコンテナも集まりやすくなる環境にしたい。

吉田運送:ラウンドユースのコンテナマッチ数は年々上がり続けています。この好循環が荷主へのメリットであるという認識を定着させていきたいと弊社としても考えています。

小島さん:荷主にとって自分たちの出荷拠点のそばにコンテナの在庫を持っているのは、インランドデポのすごい強みだと思います。それこそ気候リスクについて言及するならば、台風がきたら東京港は海に接しているためクローズしますが、内陸は余程台風の進路にでもあたらない限りクローズはしません。

ストックしているコンテナは安定的に供給できるので作業の定時制はある程度保たれます。毎日50本くらいのコンテナバンニング作業を行っているので1日空振りになると100本のコンテナが必要となるのですが、そんなことは無理に等しいですよ。それを考えれば日当たりの部分を安定的に動かせるのは非常にありがたいし、逆にそれがなかったら恐ろしい事態だったなとこの間の台風の時に痛感しましたね。

あと、ラウンドユースによるCo2削減効果も、企業として社会的貢献の部分としては非常に良いですよね。行政の協力を得るにはそういったテーマと表現をするのは非常に重要だと思っています。ラウンドユースの仕組みが成熟していく中で、今後はどうメリットを広く世の中に訴え、参加してもらえるか、今後も吉田運送さんとともに考えていきたいです。

 

インランドデポの黎明期から御一緒してきた小島さんとお話をするうちに、メリットや課題が再確認できました。先見性のある荷主の企業様を始めとした協力者のお力添えで稼働をはじめたインランドデポの利用率は年々上昇しているものの、まだまだ十分とは言えません。そのメリットを訴え、さらなる活用による関係各社への良い相乗効果のハブとしての役割を果たしたいと吉田運送は考えています。

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